介護保険制度とは?
介護を必要とする高齢者とそのご家族を社会全体で支える仕組みが介護保険制度です。特徴としては、社会保険方式を採用していること、利用者本位でサービスを利用できること、利用者の自立支援を目的としていることなどがあげられます。介護保険料を支払っている被保険者は65歳以上になると介護サービスの利用が可能になります。介護サービスを利用する際には市町村に要介護認定を申請し、認定を受ける必要があります。では、この制度の成り立ちをみていきましょう。
社会全体で高齢者を支える
寝たきり老人や社会的入院が問題となっていた1980年代。当時の介護サービスを規定した制度では十分な対応ができていない状態でした。老人福祉法というものですが、この制度では利用者側で介護サービスを選択することができず、それゆえ介護を理由に医療分野である病院に長期入院する高齢者が増え医療費が増加してしまったのです。病院は本来医療を提供する場なので、介護を必要とする高齢者にとっては不十分な環境と言えます。そして90年代に入り高齢化が進み、さらに状態は深刻化していきました。家族による介護にも限界があり、社会として高齢者を支えていく仕組みが必要になってきたのです。
そこで登場したのが、2000年に施行された介護保険制度です。この制度では、ケアプラン作成時に利用者側が介護サービスを選択することができ、これまでよりも在宅サービスの充実化が進められました。現在も社会の高齢化、それに伴った要介護状態の高齢者の増加は進んでおり、定期的に制度の見直しが実施されています。
その人らしく生活するために
介護保険法は、心身機能が低下した高齢者や病気や怪我によって介護が必要になった高齢者へ、可能な限り自立した日常生活を送ってもらうことを目的としています。介護が必要ななかでも自分らしい生活を送れるよう、利用者ごとに最適な介護サービスを受けられるように規定されており、医療と連携を行わなければならないことも規定されています。重要なのは、障害や病気といったネガティブな部分にだけ目を向けるのではなく、利用者が今できることにも目を向け、前向きにその人らしい生活の実現に向けて動いていくことです。
利用者本位に
以前までの制度と大きく異なるのが、利用者本位という考え方です。これまでは要介護状態の高齢者に自治体からの措置としてサービスを決めていたので、利用者が本来求めているサービスとのズレが生じている状態でした。しかし現在の介護保険制度では各事業所が提供しているサービスのなかから自分が受けたいサービスを選択することができます。加えて、介護支援サービスによってケアマネジャーのサポートを受けながらケアプランを作成することができるようになりました。